「本番 → 検証環境(ステージング)」「サイトA → サイトB」のように、WordPress を丸ごと別環境にクローンしたいとき、定番の All-in-One WP Migration だと容量超過で詰まることが多いです。UpdraftPlus はバックアップを5種類のファイルに分割し、クラウドストレージ経由でやり取りできるので、大容量サイトの移行に強いです。
このナレッジでは、UpdraftPlus を使ってサイトを別環境にクローンする手順を整理します。
このナレッジが役立つ場面
- 本番サイトを検証サブドメインにクローンしたい
- All-in-One WP Migration のエクスポートファイルが大きすぎてインポートに失敗する
- メディアが大量にあって標準のエクスポートでは追いつかない
- クラウドストレージ経由で大容量サイトを安全に転送したい
- 別ドメイン(別サブドメイン)に複製したい
All-in-One Migration との重要な違い
| 項目 | All-in-One Migration | UpdraftPlus |
|---|---|---|
| バックアップ単位 | 1 ファイル(巨大) | 5 ファイル分割(種別ごと) |
| クラウド連携 | 有料アドオンで限定的 | 無料版でも標準(Dropbox / Google Drive / S3 等) |
| 容量制限の回避 | upload_max_filesize 超えるとアウト | クラウド経由なら upload 制限を回避可 |
| 別ドメイン移行 | 自動URL置換あり | 別途プラグインや手動対応が必要 |
| 復元時の柔軟性 | 全部一括 | コンポーネント選択可(DBだけ・テーマだけ等) |
結論:大容量サイトのクローンは UpdraftPlus + クラウドストレージが安定。別ドメイン化の URL 置換だけは別途対応が必要です。
必要なもの
- 本番サイト・検証サイト 両方の WordPress 管理者権限
- クラウドストレージのアカウント(Google Drive / Dropbox / S3 などのいずれか)
- 別ドメインに移行する場合は Better Search Replace プラグイン(無料)
全体の流れ
[本番サイト] [検証サイト]
1. UpdraftPlus インストール 1. WordPress 新規セットアップ
2. クラウド連携設定 2. UpdraftPlus インストール(同じクラウド)
3. バックアップ実行(5種類ZIP) 3. 既存のバックアップを再スキャン
↓ ↓
[Google Drive / Dropbox / S3] ← 自動でファイル共有
↓ ↓
4. リストア実行
5. URL置換(別ドメインの場合)
6. パーマリンク再保存
ステップ1: 本番サイト側でバックアップを取る
1-1. プラグインをインストール
- 管理画面 → プラグイン → 新規追加
- 「UpdraftPlus」を検索 → インストール → 有効化
1-2. クラウド連携を設定(推奨)
ローカルダウンロード経由よりも、クラウド経由の方が大容量に強いです。
- 「設定」→「UpdraftPlus Backups」→「設定」タブ
- 「保存先を選択する」で
Google Driveなどを選択 - 「変更を保存」を押すと認証画面が出る → アカウント連携
- 戻ってきたら接続完了
1-3. バックアップ実行
- 「現在の状態」タブ → 「今すぐバックアップ」
- ダイアログで「データベースをバックアップに含める」「すべてのファイルをバックアップに含める」をチェック
- 実行
- 完了すると、5種類のファイルがクラウドに保存されます
| ファイル名末尾 | 内容 |
|---|---|
-db.gz | データベース |
-themes.zip | テーマファイル |
-plugins.zip | プラグインファイル |
-uploads.zip | メディア(画像等) |
-others.zip | その他 wp-content |
ステップ2: 検証サイト側に WordPress を用意
XServer などのサーバーでサブドメインに新規 WordPress をインストールします。
- WordPress 簡単インストールで OK
- バージョンは本番と合わせるのが望ましい(合わない場合は WP Downgrade 等で揃える)
ステップ3: 検証サイト側に UpdraftPlus をインストール → 復元
3-1. UpdraftPlus 設定
- 検証サイト管理画面に UpdraftPlus をインストール・有効化
- 「設定」タブで本番と同じクラウド(同アカウント)を設定
3-2. バックアップの取り込み
A. クラウド経由(推奨)
- 「既存のバックアップ」タブ → 「リモートストレージから既存のバックアップを再スキャン」
- 本番のバックアップが一覧に表示される
B. 手動アップロード
- 本番側で各 ZIP ファイルをローカルにダウンロード
- 検証側の「既存のバックアップ」→「バックアップファイルをアップロード」で 5 ファイルすべてアップロード
C. SFTP 直接配置(容量超過時の裏技)
- 各 ZIP を SFTP で
wp-content/updraft/フォルダに直接アップロード - 検証管理画面で「既存のバックアップを再スキャン」→ 一覧に出現
3-3. リストア実行
- 「既存のバックアップ」一覧で対象バックアップの「リストア」をクリック
- 復元するコンポーネントをすべてチェック(プラグイン・テーマ・アップロード・その他・データベース)
- 「次へ」→「実行」
- 順次復元される(数分〜数十分)
ステップ4: URL を本番→検証用に置換(別ドメインの場合)
UpdraftPlus 無料版は同一ドメイン前提のため、別サブドメインに復元したら URL の一括置換が必要です。
推奨:Better Search Replace プラグイン
- 検証サイトに「Better Search Replace」をインストール・有効化
- ツール → Better Search Replace
- 検索:
https://example.com/ 置換:https://stg.example.com - 全テーブルを選択(Ctrl/Cmd 押しながら)
- 「ドライランとして実行」にチェック → 「Search/Replace 実行」
- 影響範囲を確認
- ドライランのチェックを外して 本実行
代替:UpdraftPlus Migrator アドオン(有料)
- Premium ライセンスや Migrator 単体購入で、復元時に自動 URL 置換
- 都度移行が多い場合は検討
代替:wp-cli(SSH 環境がある場合)
wp search-replace 'https://example.com' 'https://stg.example.com' --skip-columns=guid
--skip-columns=guid は GUID 列を変更しないオプション(WP の仕様で GUID は変更してはいけない)。
ステップ5: パーマリンク再保存とログイン
- 検証サイトの管理画面に入る(管理者アカウントは本番からそのまま引き継がれている)
- 設定 → パーマリンク → 何も変更せず「変更を保存」(rewrite flush 用)
- ページが正常に表示されることを確認
大容量サイトでの工夫
1. メディアだけ別バックアップに分ける
uploads が大きすぎる場合、バックアップ時に「テーマだけ」「プラグインだけ」「uploads だけ」と分けて複数回に分けます。バックアップ時の include 設定で個別選択できます。
2. クラウド連携で容量制限を回避
ブラウザ経由のアップロードだと PHP の upload_max_filesize に制限されます。Google Drive 連携を使えばサーバー側で直接やり取りするので制限を受けにくいです。
3. SFTP 直接配置(最終手段)
どうしてもアップロードできない場合、ZIP を wp-content/updraft/ に直接配置すれば UpdraftPlus が認識します。
トラブルシューティング
| 症状 | 原因・対処 |
|---|---|
| 復元時に「タイムアウト」する | PHP の max_execution_time を引き上げ。または分割復元(5 つを 1 つずつ) |
| ファイルアップロードが進まない | upload_max_filesize / post_max_size の引き上げ、または SFTP 直接配置 |
| 復元後にサイトが表示されない | パーマリンク再保存(設定→パーマリンク→変更を保存) |
| 画像が表示されない(URL が本番のまま) | Better Search Replace で URL 置換、GUID 列は除外 |
| 管理画面にログインできない | wp_options の siteurl / home が本番のままになっている可能性。phpMyAdmin で書き換え |
| 一部のテーマ・プラグインが復元されない | バックアップ時のコンポーネント選択漏れ。各ZIPに含まれているか確認して個別アップロード |
| 検証サイトと本番サイトのプラグイン同期で本番が消える | wp-cron 等で本番サイト側に影響を出さないよう、検証復元後すぐに Search Replace で URL を切り替える |
補足:UpdraftPlus 経由のクローンに向かないケース
- WordPress バージョンが大きく違う場合、復元してもエラーになることがあります。事前にバージョンを揃える
- マルチサイトの片方だけクローンしたい場合、UpdraftPlus 無料版はマルチサイト非対応
- 大量データの差分転送のみしたい場合、UpdraftPlus は丸ごと復元になる。差分は wp-cli + rsync の方が向く

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